Facebookの新しいお知らせにこう書かれていた。
「あなたにとって重要な順に表示されるようになりました。」と。
要するに友だちの書き込みが書き込まれた時間順ではなく「僕にとって重要な順」に並ぶようになったらしい。
だが、僕にとって本当に重要なものとは一体なんだろうか。
才能、人間関係、名誉、権力、時間、平穏・・・
30年以上考え続けているが、かろうじて「どうやらお金では無さそうだ」ということが分かった程度。僕の人生にとって本当に価値あるものは何なのか?まだ答えは出ないままだ。
青春のあの日、「もっとも重要なのは才能だ」と考えていた時期もあった。才能のためなら他の何かを犠牲にしても仕方ないと思っていた。何より、自分一人だけで残酷な社会を生き抜くための力が絶対に必要だった。
あれから15年が経ち、今の僕の中では人間関係の重要度が増しているように思う。失った才能との等価交換で、多少なりとも社会性を得たのかもしれない。
こんな風に30年も答えが出ていない「僕にとって重要なもの」。
この答えを、Facebookが出してくれると言うのだ。これが世界で最も成功した企業の一つによるAIアルゴリズムの力なのだろうか。
期待と不安でドキドキしながら、Facebookをスクロールした。
揚子江の豚まん
今の僕にとって最も重要だとFacebookが判断したのは「揚子江の豚まん」だった。
気を落ち着かせながらスマホをスクロールする。
2番目は何なのか。
二番目は「ラグビー日本代表」だった。
スポーツをやるのはもちろん、見るのも大の苦手な僕に対する警鐘だろうか。
そのままスクロールを続ける。
今の僕にとって3番目に重要なものは
「冷やしトマト、もやし、ウーロン茶を頼む男とは即刻別れるべき」という情報だった。そうだったのか・・・。
そんなわけで、今の僕に必要なものは
ということがわかった。
ちなみに4番目は「年間158kgのステーキを食べて体脂肪率5.3%に!」だった。
現在の機械アルゴリズムは賢い。
特に昨今のAIは「人間には到底理解不能に思える回答を提示し、それが人間の判断よりも正しい」という事例を多発させているのも事実だ。あまりに突飛に思えるので「AIのブラックボックス」などと呼ばれているが、いずれ人類はそれを受け入れざるを得ないようになるのだろう。
そして今回の事例で言えば、僕には想像もつかない理由で「豚まんが重要」という提案は正しいのかもしれない。だが、人々が慣れた後にフェイスブック社は「Facebookに反対する意見」や「政治的な主義主張がFacebook社と反するもの」の重要度は強制的に下げて表示されないようにしていくのだろう。
例えば、僕が以前に書いて38000以上のいいね!を集めて100万人くらいが読んだ
この記事などは、この新機能が始まったらFacebook内で拡散することは無さそうに思う。
僕らが一企業のサービスを利用している以上避けられない言論統制だが、その第一歩が今回の新機能でスタートしたのかもしれない。
・
・
ということで、
僕もこれからは、豚まんの重要性について考えながら生きていきたいと思う。
(結論がおかしい)