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才能について考えたりしています。

伊藤勝子( @itoukatsuko )さんの文字入力を考えてみた

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75歳のおばあさん、伊藤勝子@itoukatsuko )さんのツイートが大人気だ。数日前に見つけた時は2600ほどだったフォロワーが、現時点でなんと47000を超えている。

 

なんと言っても面白いのは、お婆さんならではの入力ミス。

 

どうも文字入力が苦手のようで

 

・フォロワー
フオロウワウー

スマホ
スマーホ

・ユーチューブ
ユーチユーブス

ツイッター
ツイーッター

 

などの斬新な表記が続々登場。

とても癒されると人気を集めているのだ。

 

「コンピュータでうまく文字が入力できない」という現象には僕も過去に大きな恩恵を受けた。

ゆかいな誤変換。」という本を出したり(ビックリするくらい売れた)

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変換プログラムATOKのCMに協力したり。

必然的に、他の人に比べると文字入力について考えてきた時間はかなり長い。そんな変換ミスマニアとしては、少し気になる点もある。

 

伊藤さんの文字入力法についてである。

 

 

僕の扱っていた「誤変換」は古いパソコンとガラケーで頻繁に発生するコンテンツだった。ところが、スマホ以降は文字を途中まで打つとその結果を「予測変換」してくれるようになったので、そもそも誤入力が起こらなくなってしまったのだ。

 

例えば先程のこれ。

 

フォロワー
フオロウワウー

 

 

伊藤勝子さんのツイートのクライアント(利用端末)を見るとTwitter for iPhoneとなっているので、iPhoneを使っていることがわかるが、一度も「フォロワー」という文字を入力したことのない初期状態のiPhoneで「ふおろ」(小さい「ぉ」ではなく敢えて大きい「お」)と打ち込んでみたものがこれだ。

 

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予測変換に正解が出てしまっている。

 

フォロワーと打ちたければ、「ふろ…」と入力している途中に、どうしても変換候補に「フォロワー」が登場してしまうのだ。小さい「ぉ」をわざと「お」と打っても結果は同じ。賢すぎるiPhoneが自動補正してしまい、「フォロワー」という正しい表記になってしまうのである。

 

 

では逆に、どうやるとiPhoneで「フオロウワウー」という表記を打つことができるのか試してみると、かなりの難度だった。

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 上の図を見るとわかるように、「ふおろうわうー」と伸ばす音まで間違いなく打ち込むのは絶対条件。


打ち込んだだけではまだ変換候補に出てこないため、∧をタップして、もっと多くの変換候補を表示。

 

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そこで出て来る、たくさんの変な候補から間違えずに「フオロウワウー」を選んだ時、初めてiPhone「フオロウワウー」という文字を打ち込むことができる。

 

正直、かなりの難度だ。

 
変換プログラムは一度変換をすればその結果を記憶してくれるので、二回目以降は「フオロウワウー」を打ち込むことは簡単だろう。

 

だが、伊藤勝子さんの場合は「フオロウワウー」「フオロウワー」「フオロウ」と頻繁に表記がブレるのがすごい。要するに、フオロウワウー」をサジェストしてくれる賢い予測変換を無視し、毎回 をタップして別の変換候補を選んでいるのである。

 

 

また、5/17段階では「ツイッター」と書けていたのだが、

 

5/25には「ツイツター」

 

6/1には「ツイーッター」

 

と、時が経つにつれ

どんどん打ち込みが難しく、複雑なものに変化しているのもすごい。

誤字が過激になるほどRTやお気に入り数は爆発的に増加する。いわゆる等価交換だ。

 

 

世の中には様々な個性を持った人がいる。

もしかしたら伊藤勝子さんも手に不自由があり口など、僕らが想像もつかない極限状況でスマホを打っているのかもしれない。短期記憶がない場合だって考えられる。本気で打ち込んでこういう状況になることは充分あり得るだろう。

 

だが、変換ミスを15年以上追い続けてきた僕から見ると、かなり難易度の高い伊藤さんの変換。

 

変換に関わってきた人間の純粋な研究興味として、「どうやったらああいう入力ができるのか?」という秘密は、もしチャンスがあればぜひご本人に聞いてみたいな…と思います。