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うたのおねえさんと禁断の果実

 

うたのおねえさん、おにいさんは今どうしているだろう?」という思いがふと頭をよぎった。

 

僕は幼少期から「おかあさんといっしょ」を食い入るように見て育ったが、考えてみると番組を卒業したお姉さんとお兄さんが現在どうなっているのか、ほとんど知らないのである。

もっと正直に言うと、何年も見ていたのにほぼ全員、名前もきちんと覚えていない状態というのが正しい。

 

 

そんな中、たった一人だけ今でも活動を続けていることがわかり、名前もわかるお姉さんがいる。はいだしょうこさんである。

 

数ある番組卒業者の中で、はいだしょうこさんだけは今でもバラエティ番組で目にする気がする。確かトヨタのCMにも出ていた。

 

では、彼女は他のお姉さんと何が違ったのか?

 

決まっている。この絵描き歌である。

 

 

歌のお姉さんは基本的に全員が同じようなキャラクターだ。

 

明るく、元気で、歌がうまく、子どもに優しい。

NHKの契約条件がかなり厳しく、恋愛、立ち食い、海外旅行、車の運転までもが禁止されているという情報を見たことがあるので、きつい制約の中でどうしても個性が出せず、同じようなキャラクターを演じるしか無いのだろう。収録なので、生放送のように突発的に「やらかして」しまうこともできない。

 

そして、その厳しい契約を遵守した結果、歌のお姉さんとしての地位は安泰だが、視聴者からは同じような人物に見えてしまい契約終了以後の仕事が取りにくくなるのだと思う。いわゆる等価交換である。

 

 そんな中、はいだしょうこさんは違った。

こどもの楽しい絵描き歌の体裁を取りながら、自らの禍々しいイラストを全国放送に乗せて「絵がヤバい」という自らの個性を知らしめることに成功したのだ。

 

 あの絵描き歌の放送後、ネットは騒然となったし、普通ではないことは明らかなのでNHKには電話や手紙で問い合わせや苦情が殺到したことだろう。本人も後日バラエティで「見た子どもが泣いた」と語っていた。

サポートセンターや偉い人は何らかの対応を迫られただろうし、歌のお姉さんの厳しい規律を考えると、本人に何らかの罰則があった可能性すらある。

 

おかあさんといっしょ」の内容としては常軌を逸していた絵描き歌。おねえさん=NHK間の関係で言えば、あのように半ばふざけたような個性の出し方をしたことは禁じられていた「禁断の果実」に手を伸ばしたと言えるのかもしれない。

 

 

ただ、旧約聖書の禁断の果実は「知恵の実」とも呼ばれる。

しょうこお姉さんには、おかあさんといっしょという楽園を失った後も「あの絵描き歌は数字になる」という知恵(原罪)が残ったのである。

 

そしてその知恵を武器に、おねえさんは一人生き残った。

 

 

 

 

 

人は誰しも社会の中で生きている以上、多かれ少なかれ規律や常識に縛られて生きている。僕だってそうだし、これを読んでいるあなただってそうだろう。

 

規律を守っているからこそ楽園にとどまることができる。ただ今よりももっと、常識を超えた成功や栄冠を手にしたいなら、通常は禁じられている「禁断の果実を手に取る」という選択肢はあるのかもしれない。

 

ほとんどの人は、それによって現在の楽園を失って終わりだろうが、ごく稀に大きな力を手にして成功をつかむ人が現れる。しょうこお姉さんのように。

 

僕も必要な時が来たら、果実を手にできる側でありたい。

 

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あのヤバい絵を見るたび、そう思う。