好きな言葉を入れるだけですばらしい精度の画像を自動生成してくれるAIアプリ「Dream」。
bok.hatenablog.com前回の記事では、鬼滅の刃、ガンダムなど主に有名作品の模倣を試みたが、今回の記事は、さらにすごい画像を作るため大きな方針転換を行った。
先にチャレンジしたものを書いてしまうと
の3つである。(最後は期待しないでください)
そもそもアーティストの絵は自然の模倣であることが多い。つまり前回の試みは「自然を模倣した絵のさらなる模倣」という2重の模倣になってしまっていたのだ。
過去にゲーム業界の知人が
「ゲームだけやって来た人より、自分ならではの得意ジャンル(釣りとかチェスとか、なんでもいい)を持っている人のほうがすごいものを作ることがある。ゲームしかやっていない人の作るゲームは既存ゲームの模倣になってしまうことがあるからだ。」
と言っていたことがある。
つまりマンガなどの既存作品(書かれた絵)の模倣よりもオリジナルな風景の作成を目指した方が完成度が上がるのではないか。
そこで今回のチャレンジでは、僕が個人的に非常に強い思い入れを持つ2つの風景(+おまけ)を作成することを目指した。
クリスタルの洞窟
まずはこちら、2000年に発見されたクリスタルの洞窟である。
メキシコに実在する洞窟だが、非常に大きなクリスタルのような柱が特徴的でまるでSF映画。盗掘を避けるため立ち入りが厳重に禁止されているうえ、50℃以上の気温や湿度が過酷過ぎるため装備なしの一般人では10分程度しかもたないらしい。
クリスタルが好きで普段から毎日結晶を触っている僕としては、人生で一度は行ってみたい場所である。ただ、おそらく叶うことはないためこれまでは検索して出てきた数少ない写真を集めて満足していた。
そこでAIにクリスタルの洞窟の絵を書いてもらうチャレンジである。
今回はこんなワードでチャレンジしてみた。
「A large,shining transparent crystal pillar in the cave」
(洞窟の中の、大きくて輝く透明なクリスタルの柱)
既に鳥肌が立ってしまった。
まだ誰も見たことのない洞窟の中にでかくて透明なクリスタルの柱が輝いている。
これはAIの作った架空の写真だということはわかっているが、僕自身がこんな洞窟の中を探検している気になってしまう。何しろ世界中でこの景色を目にしている人は僕一人なのである。
どんどん設定を変えて画像を作ってみる。
すばらしすぎる…。
設定によってはクリスタル感が減っているものもあるが、どれも壁紙にしたいほど大好きな景色。
そして、人間とは恐ろしいものでこの感動に慣れてくるとさらなる欲望が出てきた。
「この洞窟に金貨が大量に落ちていたらもっとすごい景色なのでは?」
もはや金貨は自然物ではないしクリスタルでもない。だが願ってしまったのだ。願いが湧いてしまったからには試すしか無い。
「A large,shining transparent crystal pillar in the cave and gold coins」
(洞窟の中の、大きくて輝く透明なクリスタルの柱と金のコイン)
クリスタルの洞窟に金貨が…!
誰得でもない、僕だけが得をする謎の画像。前人未到の地に金貨という人工物が落ちている不自然さ。だがそれでいいのだ。
画像を出力しながら、次はこう願った。
「こんなものを発見してしまったら、今度は持って帰りたいよな」
そこで、今度は場所を部屋(in the room)に変更してみた。
「A large,shining transparent crystal pillar in the room and gold coins」
(部屋の中の、大きくて輝く透明なクリスタルの柱と金のコイン)
持って帰った気分…!
ちょっと興奮しすぎているので読者の皆様は「ただキモいな…」と感じられているかもしれないが、こんなに夢のような景色がわずか数秒で見られる感動はすごい。
さらに、家の柱だけをクリスタルにした画像などを試し、クリスタルの洞窟チャレンジは終了。現実は何も変わっていないが、誰も知らない地を一人で旅行したような、謎の満足感があった。
深海で出会う巨大生物
もう一つの、絶対に行けないけれど夢見る景色は「深海で出会う巨大生物」である。
恐竜が好きだった幼少期から巨大生物には異常な憧れがあるのだが、中でも深海はやばい。海中は重力の制約が減るので陸上では考えられないほどの異形のモンスター的な形状の生き物も多いのだ。
有名なNHKスペシャルのダイオウイカと目が合ったシーンは畏怖の念からなのか、寒気を感じたほどだった。(この目玉だけでバスケットボールくらいの大きさ!)
そんな深海に住む、まだ誰も見たことのないモンスターに出会うため、ワードを入力していく。
「A big squid in the deep sea」
(深海の大きなイカ)
あ、もう近い!近いです!(敬語)
一発で、ほぼ見たかった怪物が出てきている。強いて言うなら、NHKスペシャルのダイオウイカと近すぎる気もする。そもそもNHKのダイオウイカ動画(世界初)が有名になりすぎたため、AIの持つ巨大イカデータもNHKの画像に偏ってしまっているのかもしれない。
そこで、NHK感を減らすため、少しSF的な要素を入れていくことにした。
「A big odd squid in the deep sea」
(深海の大きくて奇妙なイカ)
ood(奇妙な)くらいの言葉では弱かったのか、あまり変化がない。そこで「monster」という強い言葉を使うことに。
「A monster squid in the deep sea」
(深海の怪物イカ)
うわー、これは怖い。
見たことのない形。こんなものに深海で出会ったら…と考えると震えてしまう。
monsterという言葉が強いらしく、次々と恐ろしいやつが出てくる。
そして、これは僕の好みなのだが、海には完全に透明になって相手の目をくらますような生き物もいる。
そこで、今生成するモンスターにも透明になってみてもらうことにした。
「A transparent monster squid in the deep sea」
(深海の透明な怪物イカ)
ひいいー、かっこいい!!
一部が透明になっている怪物イカ。一度も同じ形は無いが、どれもすごく怖い。
さらに欲を出して行く。
深海と言えば発光生物だ。深海は太陽の光がほとんど届かないので、目くらましや罠に光を使う生き物が多い。
「A transparent glowing monster squid in the deep sea」
(透明で光る深海の怪物イカ)
光ってる。すごすぎる。
こんな理想の怪物画像が無限に生成できるなんて…。
これらのモンスターは偶然泳いでいるところを撮影したように見えるので、今後はカメラに襲いかかって来る写真が撮れないかやってみた。
「A transparent glowing monster squid attacks the camera in the deep sea」
(透明で光る深海の怪物イカがカメラに襲いかかる)
ところが、これは何度も試したが全然うまく行かなかった。そもそもダイオウイカがカメラに襲いかかってくる映像は存在しないので、AIとしても学習データが少なすぎるのかもしれない。
そこで、方針を変えて「こちらを見つめる」という怖さを狙った。ついでに調子に乗り目を3つにしてみている。
「A transparent glowing monster squid stares at me with three eyes in the deep sea」
(透明で光る深海の怪物イカが三つ目で私を見つめる)
あまり怖くない。無理やり3つ目を実現するため、形が崩れてきてしまっている気がする。やはり現実のデータから学習しているので、大きく現実から外れすぎるとダメなのかもしれない。バランスが難しい。
単眼を試したが、こちらのほうがまだバランスはいいかもしれない。
このあたりで、イカの制約を取ったほうがいろいろなモンスターが出てくるのでは?と単語を変更していろいろ試してみる。
左上からサメ、タコ、モササウルス、魚。
かっこいいが、もともと深海にいない生き物は形状が崩れがちだ。また、写真が存在しない「モササウルス(左下)」はやはり厳しかった。
そんな中で見つけたパワーワードが「UMA(未確認動物)」だ。このワードに変更したところ、次々と見たことのない形が出てきた。
どれもやばい。
大満足である。
見たことのない異形の生物が無限に出てくる。どれも少し手を加えればゲームに出てくるオリジナルモンスターと言われても遜色ないレベルだ。
前回の記事で書いたが、やはり現段階では怪物の生成の方が得意なのだと思う。
完全に蛇足であと数十種類の生き物も試したが、デザイン的に整ったのはカジキ、マグロ、蛇など、ここに出しても違和感の無いものばかりで、違和感のあるもの例えば「ネコ」などは
やはりイマイチな完成度になってしまうことがわかった。
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ということで、絵の模倣ではなく「僕が見たかった風景」を書き出そうとする今回のチャレンジ。イラストを模倣した前回よりもかなり質の高い画像が生成されていたように思う。
そして、これは内容的に本ブログでは深く触れないが今後このようなAIが進化していくと
○○(芸能人)の水着写真
のような現実には存在してはいけない画像を作成するという、更に恐ろしい使い方がなされていくのかもしれない。試しにやってみた結果がこれだ。
完全なる化け物が錬成されているので今は笑ってブログに貼ることができるが、もう少し精度が上がると即法規制が必要な空気を十分に醸し出している。
AIの自動生成画像、今後の行方に注目したい。
前回記事(アプリリンクはこちらに)