天才と便漏れ
僕は特殊能力者の話を聞くのが大好きだ。
そのため、会話している相手に「特殊能力者っぽい雰囲気」を感じると決まって聞く質問がある。
「ところで、あなたはうんこが漏れますか?」
というものだ。
唐突な質問に思えるかもしれないが、僕が今まで会った1000~数千人という小サンプルの中では、天才的な芸術力、コミュニケーション力、運などを持つ人は「うんこを漏らしている確率が一般より高い」ように思えたのである。
過去の偉人ではフランスのルイ14世が会議中にずっとうんこを漏らしていたと聞くが、そこまで極端ではなくても、うんこが漏れる特殊能力者は多い。
理由を無理やりこじつけるのなら、
- 創作などの集中力が常人より強く、トイレにいくのを忘れる
- 慢性的に胃腸が弱く、爆弾を抱えながら生きているために繊細な能力が身についた
- そもそも「うんこを漏らしてはいけない」という一般常識が通用しないため、常識破りの成功をおさめることができる
と、いうように便漏れの天才を擁護する見方もできる。彼らはうんこと引き換えに才能を手にしていたかもしれないのだ。いわゆる「等価交換」である。
ところが、だ。
先日恐るべきニュースを発見した。
なんと、毎日新聞の記事によると現代成人の5人に1人が便漏れをしていたのである。
僕の会ってきた便漏れの天才はみな「数千人に一人」と言える素晴らしい才能を持っていたが、人類全体の5人に1人が便漏れとなると便漏れの絶対数が多すぎて話が変わってくる。
天才も一般人と同じく「5人に1人は便漏れをしていただけ」なのではないか。
ベン図で表すとこのような具合だ。
天才の便漏れ率が「5人に1人」を超えていなければ、便漏れと才能は何の関係もなかったことになる。何が等価交換か。
僕は便漏れと天才の相関関係に固執するあまり、ところ構わず「うんこは漏れますか?」と聞いて回っていたが、毎日新聞の記事から導き出される事実はおそらく一つ。
僕が知り合って感動していた「便漏れ人」のほとんどは、ただ便が漏れるだけの普通の人だった。
ということだ。
天才に会いたくて、天才を追い求め、ようやく到達した局地とも言える「便漏れの人々」を探す旅。
例えそれが偽りの道だったとしても、失った時は戻らず明日は来る。
こんなにも残酷な世界で、出会うことができた便漏れの人々と共に、僕は次の極地を目指したい。
真の才能を求めて。